多くの方が、生活や社会の急激な変化を余儀なくされた昨今。この瞬間を生きているようで実は過去や未来を考えすぎて「心ここにあらず」の状態になっていて、先が見えづらい不安やストレスに悩んでいると思います。
いつも何かを心配しては心が疲れてしまって、目の前の事に集中できない状態になっている方も多いのではないのでしょうか。そこで今回は、マインドフルネスを解説します。
マインドフルネスとは簡単に言うと、「今、この瞬間の自分に全集中を向ける」という考え方です。つまり、目の前のことにだけに集中するということです。
意識の状態
マインドフルネスとは、「心を整えるための考え方」です。
特別に新しい考え方ではなく元々、東洋の瞑想の形態での実践が3000年あり、仏教的な瞑想に由来します。しかし、マインドフルネス=瞑想というわけではありません。瞑想はマインドフルネスの状態を作るための方法のひとつです。
瞑想によって意識をコントロールして、「意図的に“今ここ”という意識を向け、価値などを判断をせず、ありのままを受け入れている状態」のことです。
近年では宗教色が排除されて医療、ビジネス、自己啓発としても広まってきました。現在では、多くの方や多くの大手会社などが実践していることで話題になり、メンタルコントロールメソッドとして注目を集めてきています。
期待できる効果
ストレスの軽減
マインドフルな状態になることで、余計なことは考えないのでストレスを抱えなくて済むため、精神的・肉体的にも緊張が解けてストレスが解消されていきます。テレビ番組などでもストレス対策としてマインドフルネスが有効であることが取り上げられています。
学習力・記憶力・集中力の向上
瞑想によって思考がクリアになると、それに対しての記憶力、決断力が上がり、瞑想を続けることによって普段の学習力、記憶力などが飛躍的に向上します。
うつ病の再発防止・軽度のうつ病の症状改善
瞑想をすることによって、うつ病や自閉症といった症状にも一定の効果を発揮します。また再発率が、瞑想をしない人に比べて減りました。現時点でうつ病の方でも回復が早まったという報告もあるそうです。
その他に、アメリカで医療にも導入されたマインドフルネスは、以下に効果が期待できると言われています。
免疫システムの向上
慢性疼痛の改善
不安障害・不眠症・摂食障害・依存症などの改善
おもいやり・幸福感など感情コントロールの向上
意図的に意識を向ける
では具体的に、「瞑想」を用いて日々の心配事や不安な気持ち・仕事や他人の評価など頭に浮かぶことを鎮め、「今」だけに集中する精神状態を意識的に作っていきます。
マインドフルネス 呼吸の瞑想
瞑想をする場所はどこでも良いですが、最初はリラックスしやすい場所、人の声や物音が少ない、気が散りにくい場所が良いでしょう。まず、椅子または床に背筋を伸ばして座ってください。目は軽く閉じるか、薄く開けましょう。お釈迦様の目をイメージしてください。
次に、肩の力を抜いてリラックスして、ゆっくり呼吸をします。息を吸うときに、お腹や胸が膨らむのを感じましょう。呼吸はコントロールせず、自然なペースで繰り返しましょう。
息を吸いきったら今度は、ゆっくりと息を吐きながら、お腹や胸が縮むのを感じましょう。
自然なペースで吸ったり吐いたり呼吸を繰り返しましょう。
雑念が浮かんだときは、「雑念、雑念」と心の中でつぶやき、「戻ります」と言って再び呼吸に意識を戻します。
呼吸の瞑想は、1日5分ほどから、できるだけ毎日続けましょう。
毎日、少しずつ続けて慣れてきたら時間を伸ばしていって大丈夫です。続けていくうちに意識の向かう先をコントロールすることが楽にできるようになります。
また、始めたからといって、すぐに大きな変化が訪れるわけではありません。しかし継続することにより、「集中力が上がった」「感情のコントロールをしやすくなった」「頭が冴えるようになった」「適切な判断ができるようになった」など変化を実感できる方が多いようです。
注意点
PTSDや不安障害など精神疾患を抱えている方は、瞑想中にフラッシュバックが起きたりする恐れがあります。不安がある方は実践する前に専門医に相談してください。
また、お酒を飲んだ後・食後すぐは避けましょう。
精神的ストレスの原因は「今ここで起きているわけではないこと」がほとんどです。過去の嫌な事を思い出したり、未来に起こるどうかも分からない不安な事を想像して、悲しみ・不安・絶望・怒りなどを感じることが多いです。
毎日を幸せに生きていくためには、“今”の一点に意識を向けて、“今できる最善”の行動をとることが重要です。
現代の生活では、「今この瞬間」を感じることは難しいことかもしれません。予定に追われている方も多いでしょう。そして、情報過多な現代も自分自身に意識を向ける妨げになっていると思います。
こんな時代だからこそ、マインドフルネスの実践によるメンタルコントロールをおすすめします。ぜひ今日から少しづつ始めてみてください。