真実の言葉を唱えると、心の迷いや欲望や煩悩が取り除かれて新たな気持ちで前に進むことができます。古くから真言を唱えることは僧侶の修行だけじゃなく、健康・安産・出世など願いを叶えるものとして民間に浸透していました。
初めは意味の分からない難しい言葉だと思うかもしれませんが、毎日の生活に取り入れて心穏やかに幸せな日々を送りましょう。
マントラ(真言)ってなに?
サンスクリット語の「マントラ(Mantra)」と呼ばれる言葉を訳すと真言(しんごん)という意味になります。
古代インドの言葉であるサンスクリット語の呪文を音写したもので、「仏の真実の言葉、秘密の言葉」という意味をもち、密教経典に由来し、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられます。
真言の長いものは陀羅尼(=サンスクリットの「ダーラニ」の音訳)と呼ばれます。本来は自分の修行のためのものですが、他者のための加持祈祷の際にも用います。
陀羅尼(ダーラニ)は、インドの昔の言葉である「梵語」で、仏さまにお唱えする祈りの言葉、つまり「真言(しんごん)」のことを言います。真言を唱えることで効果を享受することができるとされています。
真言は、僧の修行だけでなく、健康、安産、出世など願いを叶えるものとして古くから民間にも浸透していました。病気を癒したり、毒蛇から身を護るなど、誰もが唱えることができるものでした。
真言を唱えるとどうなる?
真言は瞑想・ヨガ・密教で唱えられることが多く、呪文のように唱えるものや、不動明王・愛染明王・毘沙門天・千手観音・弁財天・文殊菩薩・阿弥陀如来など、それぞれのご真言があります。
また、霊力(言霊)があるとされていて、次のような効果があると言われています。
- 集中力アップ
- 心身の調和や精神統一
- チャクラ活性化
- 願望実現や御利益を得る
- 迷いや欲望や煩悩を取り除く
- 正しい道へと導く
真言密教では、手に印を結び(身密)、口で真言を唱え(口密)、心に仏を思う(意密)ことで、悟りの境地に達すると考えられています。
お経のひとつ「般若心経」
平安時代初期に弘法大師によって開かれた真言宗は、天台宗と並ぶ山岳仏教で、大日如来を宇宙の真理と捉えています。
真言宗では、「般若心経」や「理趣経」、「遺教経」などのお経が読まれます。
根本本尊は大日如来で、即身成仏が根本の教えです。また根本経典は、慈悲の象徴である『大日経』、智慧の象徴である『金剛頂経』で、それらを一対とした曼荼羅思想を持ちます。
真言宗の経典の大元である600巻60億40万字からなる「大般若経」の中に、わずか262文字の「般若心経」があります。正式な名前は「般若波羅蜜多心経」といい、仏様が説いた苦しみのない場所に至るための大事な教えという意味です。
般若心経の「般若」は物事の背後や道理を見極めるための智慧、「心」は精髄、「経」は釈迦尊の教えで、大乗仏教の「空」、「般若」の思想を説いた経典です。
「空」とは、すべての存在は因縁によって生じたものであり、実体のないものであるとする思想のことです。また般若とはいわゆる「悟り」のことを指します。
◎「空」は、ここにない存在としての認識で実体を持たない、数字のゼロと同じ
◎人間が言葉で説明できるほど簡単ではなく、感じる事しかできない
◎人間も含めたこの世の全ては五蘊から作られている
◎五蘊とは存在を構成する要素であり、絶えず生滅変化する
※五蘊は、色(物資・肉体)・受(感情・感受)・想(認知)・行(意思)・識(知性・心)
般若波羅蜜多の言葉は、「般若」と「波羅蜜多」とに分けられます。
◎般若⇒釈迦による真実の智慧
◎波羅⇒悟りの世界である彼岸 / 蜜多⇒至る
波羅蜜多⇒悟りの境地・究極に至る・完成
般若波羅蜜多とは、悟りの境地に導くための釈迦尊の智慧の意味です。
代表的な真言
真言は、最低3回から唱えるようにしましょう。
3回以上唱える場合は5回や10回ではなく3→7→21回という単位で増やしていきましょう。
なぜなら真言を唱えた数を数えるための道具「数珠」の単位が7回・21回という単位で区切られているからです。
本連(108玉)の数珠は一周108回を数えられるのですが、間に小さな四天玉というのが入っていて指で小さな玉の感触が来ると、7と21のところで止めることができます。お坊さんが、お経や真言を唱える時3区切り7区切りが多いのです。
数多く存在する真言ですが、全てをご紹介することはできませんので代表的な真言をご紹介いたします。何かの時に唱えてみてください。
光明真言
オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン
干支のご真言
千手観音(十一面千手観音、千手千眼観音):子年生まれの守り本尊
オン バザラタラマ キリク
虚空蔵菩薩:丑年・寅年生まれの守り本尊
ノウボウ アキャシャ キャラバヤ オン アリキャマリボリ ソワカ
文殊菩薩:卯年生まれの守り本尊
オン アラハシャノウ
普賢菩薩(三摩耶戒と同):辰年・巳年生まれの守り本尊
オン サンマヤサトバン
勢至菩薩:午年生まれの守り本尊
オン サンザンザンサク ソワカ
大日如来(金剛界):未年・申年生まれの守り本尊
オン バザラダトバン
不動明王:酉年生まれの守り本尊
ノウマクサンマンダバザラダン カン
阿弥陀如来(無量寿如来):戌年・亥年生まれの守り本尊
オン アミリタ テイセイカラ ウン
大日如来(胎蔵界)
オン アビラウンケン
釈迦如来
ノウマクサンマンダボダナン バク
薬師如来
オン コロコロ センダリマトウギ ソワカ
普賢延命菩薩
オン バラザユセイ ソワカ
聖観世音菩薩
オン アロリキャ ソワカ
十一面観世音菩薩
オン マカキャロニキャ ソワカ
地蔵菩薩
オン カカカビサンマエイ ソワカ
弥勒菩薩(布袋尊と同)
オン マイタレイヤ ソワカ
阿閦如来
オン アキシュビヤ ウン
発菩提心
オン ボウヂ シッタ ボダハダヤミ
如意輪観音
オン ハンドメイ シンダ マニ ジンバラ ウン
馬頭観音
オン アミリトドハンバ ウン パッタ ソワカ
愛染明王
オン マカラギャ バゾロシュニシャ バザラサトバ ジャクウンバンコク
神変大菩薩(役行者)
オン ギャク ギャク エンノウバソク アランジャ ソワカ
七福神のご真言
恵比寿天
オン インダラヤ ソワカ
大黒天
オン マカ キャラヤ ソワカ
寿老人・福禄寿
ウンヌンシキソワカ
布袋尊(弥勒菩薩と同)
オン マイタレイヤ ソワカ
毘沙門天
オン ベイシラ マンダヤ ソワカ
弁財天
オン ソラソバ テイエイ ソワカ